片耳難聴の私が感じた、健聴者が本当に羨ましいとき

片耳難聴の私が感じた、健聴者が本当に羨ましいとき
ボクは物心ついたころから片耳が聞こえない状態で育ってきました。
普段は普通に過ごせていますが、ふとしたときに「健聴者がうらやましいな」と感じる場面があります。

この記事は次のような人におすすめ!
- 片耳難聴で日常生活や人間関係に悩んでいる方
- 片耳難聴の家族・友人・同僚を理解したいと思っている方
たとえば、誰かとの会話中。聞こえない側から話しかけられると、何を言っているのかまったく分かりません。
もう一度聞き返すことが多いのですが、「またか」と思われるのではと不安になり、聞こえなかったふりをしてしまうこともあります。
見た目には耳の不自由さは分かりません。
そのため、「話しかけても無視された」と誤解されることもあるのではと気を使ってしまいます。
本当は気さくに返したいし、会話も楽しみたいのに、聞き取れないという理由で距離ができてしまうこともあるのです。

とくに困るのは、大人数の場面。
四方八方から声が飛び交うと、どこから話しかけられているのかが分からず混乱します。
背景の音と人の声が混ざってしまい、聞き取りが難しくなることも少なくありません。
こんなとき、「両耳で自然に会話に入れる人たちって、本当に羨ましいな」と感じます。
音楽の聞こえ方が違う??
音楽が好きで、よくイヤホンで聴いたり歌ったりします。
でも、ときどき「両耳で聞いていたら、もっと感動できるんじゃないかな」と感じることがあります。

両耳で聴くと、音に奥行きが生まれ、ライブ会場のような臨場感が感じられる(両耳効果)といいます。
その違いを、想像するだけでも少し寂しい気持ちになることがあります。
片耳だけだと、音の広がりや繊細なハーモニーを感じにくいようです。聞こえが平面的でモノラルに聞こえているといいます。
たとえば、ステレオ再生の音源では、左側からだけ聞こえる音が欠けてしまい、曲全体のバランスが取りづらいこともあります。
ただ、それでも音楽が好きな気持ちは変わりません。
片耳でも楽しめるように、低音がしっかり響くスピーカーを使ったり、片耳用に最適化されたイヤホン(モノラルオーディオ機能)を選んだりと、自分なりの工夫をしています。
音を心で受け取る、そんな感覚を大切にしています。

モノラルオーディオ機能があることで、ステレオで収録された音楽をモノラルに変換して聞くことができます。
将来のことで悩む心配がない
片耳難聴のせいで、将来の進路や生活に影響を与えるのではないかと、不安になることがあります。

就職活動の場面では、健康診断や聴力検査などで「聞こえにくい」ということが不利になるのではと心配になることもあります。
「理解してもらえるのか?」という迷いは常にあります。
日常生活でも、車の音や人の声の方向が分かりにくく、危険を察知しにくいこともあります。
結婚や子育てなど、将来の人間関係においても不安を感じる場面があるのも正直なところです。

「誰かに迷惑をかけてしまうかもしれない」というネガティブな思いが常につきまといます。
それでも乗り越えられる
「健聴者がうらやましい」と感じる気持ちは、決して悪いことではありません。
でも、その気持ちをただ抱えるのではなく、「じゃあ、自分はどう工夫できるか?」と考えるようにしています。

会話の場面では、なるべく静かな場所を選び、相手の顔が見える位置に座るようにしています。
聞き取れなかったときも、堂々と「もう一度お願いします」と言えるようになってきました。
音楽も同じ。
自分に合った聴き方を見つけることで、十分に楽しむことができるようになります。
将来への不安も、「不安を抱えるのは当然」と認めたうえで、「乗り越える方法」を考え続けることが大切だと思っています。

同じように片耳難聴を抱えている人たちの声を聞いたり、前向きに生きている事例を知ることで、自分にも希望を持てるようになりました。
まとめ
健聴者と自分を比べてしまうことは、誰にでもあることです。
でも、その差に落ち込むのではなく、どうやって自分なりに前を向いていけるかが大切です。
聞こえにくいことで生まれる工夫や気づきは、むしろ人生を豊かにしてくれる要素にもなります。
そして、そうした体験をシェアすることで、同じ悩みを抱える人の支えにもなるかもしれません。

片耳難聴でも、自分らしく暮らしていける。
そう実感できる毎日を、これからも大切にしていきたいと思っています。