片耳難聴でも障害者手帳は対象?条件・申請方法・支援制度を解説

耳が聞こえづらくて困っていませんか?
実は、条件によっては障害者手帳の取得が可能です。

障害者手帳をもらえる条件・申請の流れ・使える支援制度を知ることができます。
もし手帳がもらえなかった場合でも、役立つサポートを見つけられる内容になっていますよ👍
片耳難聴は障害者手帳の対象になる?もらえる条件と例外ケース
片耳難聴の方が障害者手帳の対象になるかどうか、簡潔にポイントをまとめて解説します。
①交付される基準
障害者手帳の交付は、基本的に両耳の聴力に著しい障害がある場合が対象です。
片耳だけの難聴では、原則として交付対象外となるケースが多いのが実情です。
②例外的に認定されるケース
✅片耳がまったく聞こえない(90dB以上)うえに、もう片方も難聴(50dB以上)であれば、6級に該当する可能性があります。

片耳が正常な聴力である場合は、対象外となる可能性が高いです。
③迷ったときの相談先
自分が対象かどうか迷ったときは、耳鼻科で正確な聴力検査を受けましょう。
診断結果をもとに、指定医による意見書の作成が可能か相談しましょう。
その上で、市区町村の障害福祉課に相談すれば、申請の可否や流れを丁寧に案内してくれます。
④より詳しい条件の確認はこちら

等級の判定基準や聴力レベルの具体的な数値については、以下の記事で詳しく解説しています。

難聴で障害者手帳がもらえる場合の申請方法5ステップ
📌【申請の流れまとめ】

①必要な書類をそろえる
障害者手帳の申請をするためには、いくつかの必要書類をそろえておく必要があります。
まず大前提として必要になるのは「障害者手帳交付申請書」。
さらに、本人確認書類や顔写真(縦4cm×横3cm)も必要になります。
顔写真は、障害者手帳交付申請書にある所定の欄に貼り付けます。

自治体によって書類様式が若干異なることがあるので、必ず役所の公式ページを確認してくださいね。
②耳鼻科での診断と意見書取得
次のステップは、耳鼻科での詳細な聴力検査と、障害者手帳の申請に必要な指定医による診断書(意見書)の作成です。
この診断は、どの医師でも良いわけではなく、「身体障害者福祉法に基づく指定医」が作成する必要があります。
診断内容にはオージオグラム(聴力測定図)や語音明瞭度など、非常に細かい情報が含まれます。
聴力レベルが「片耳90dB以上、他耳50dB以上」という条件に該当するかどうか、ここで明確になります。

指定医からの診断(意見書)が、申請の可否を大きく左右しますので、信頼できる耳鼻科に相談しましょう!
③市区町村へ申請
診断書がそろったら、住民票がある市区町村の障害福祉課に申請を行います。
必要書類(申請書・本人確認書類・写真など)を窓口で提出するか、郵送での対応が可能な自治体もあります。

申請時に窓口での説明がある場合が多いので、できれば直接出向く方が安心ですね。
その場で書類の不備があればすぐに指摘してもらえますし、次のステップにもスムーズに移れます。
④審査(約3カ月)から交付
申請が受理されると、都道府県の障害認定審査会による審査が行われます。
提出された診断書や聴力データをもとに、障害の等級が判定されます。
審査には平均して3ヶ月ほどかかることが多いです。
途中で追加の書類提出を求められるケースもあるので、電話や郵送物のチェックはこまめにしておきましょう。
審査を通過すれば、交付決定の通知が届き、役所で手帳を受け取ることができます。
⑤結果通知後(更新手続きについて)
障害者手帳は基本的に期限なしですが、聴力の変化があった場合には再認定が必要になることもあります。
特に、聴力が回復したり、逆に悪化したりした場合には再申請が必要です。
また、補聴器の使用状況や就労の有無が影響することもあります。
手帳の内容(住所・氏名・等級など)に変更があった場合は、速やかに役所へ届け出ましょう。
更新の際には、再度診断書が求められることもあるので、余裕をもって準備することが大切ですよ!
障害者手帳を持つと受けられるサポート内容7選
障害者手帳を持つと、日常生活のさまざまな場面で支援が受けられます。ここでは、代表的な7つのサポート内容をご紹介します。

①公共交通機関の割引
手帳を持っていると、電車・バスなどの公共交通機関で割引を受けられます。
JR各社の身体障害者割引制度では、単独乗車でも50%割引になる場合があります。
自治体によっては福祉乗車証が交付され、市営バスや地下鉄の運賃が無料や割安になることも。タクシーでも、1割引の障害者割引が適用される事業者があります。
同行者も割引対象となるケースがあるので、確認しておくと安心です。
②税金の控除や減免制度
障害者控除では、所得税や住民税の課税対象から一定額が控除されます。一般障害者控除は27万円、特別障害者控除では40万円となっており、節税に繋がります。
また、自動車税や軽自動車税の減免制度もあり、車を使っている方には大きなメリットとなります。
扶養している家族に手帳保持者がいる場合も控除対象になります。
③医療費の助成
重度障害者医療費助成制度では、医療機関での自己負担が軽減または無料になります。制度の適用内容や所得制限などは自治体ごとに異なります。
精神科に通院している場合には、自立支援医療制度を併用することで自己負担が1割になることもあります。
事前に医師の診断書が必要なので、確認のうえ手続きしましょう。
④補装具や補聴器の支援
補装具費支給制度を利用すれば、補聴器や関連機器の購入費が一部または全額補助されます。支給対象となる機器には指定があるため、購入前に自治体へ確認が必要です。
購入後に申請しても対象外となるため、申請のタイミングには注意が必要です。
医師の意見書と事前申請が必須です。
⑤就労支援や職業訓練
障害者手帳を持っていると、ハローワークでの就職支援が充実します。障害者雇用枠での応募や、職場実習、職業訓練の優先枠などが利用できます。
また、就労移行支援事業所などの福祉サービスを通じて、働く環境を整える支援も受けられます。
合理的配慮が受けやすくなるのも大きなメリットです。
⑥福祉サービスや支援機関の利用
デイサービスやガイドヘルプなどの地域福祉サービスが利用しやすくなります。生活支援センターでは、困りごとに対する相談や支援が受けられます。
家族や保護者に対しての支援体制も整っており、安心して暮らせる環境づくりに役立ちます。
地域により利用条件が異なるため、確認は必須です。
⑦日常生活用具の給付制度
振動式目覚まし時計や火災警報器など、生活に必要な用具の給付制度があります。これらは聴覚障害者の日常生活をサポートするものとして支給されます。
給付には医師の意見書や申請書が必要で、手続きには時間がかかることもあります。
一人暮らしや高齢者には特に有効な支援です。
障害者手帳がもらえない場合の代替サポート制度
障害者手帳がもらえなくても、自治体独自の助成や補聴器支援など、使える制度は複数あります。
主なものを4つご紹介します。

①自治体の独自福祉制度
手帳がなくても、自治体独自の支援制度を受けられる場合があります。たとえば、福祉乗車証や日常生活用具の給付などです。
聴力に応じた証明があれば対象になるケースもあるので、まずはお住まいの自治体へ相談してみましょう。
②補聴器購入の助成金
手帳がなくても、補聴器購入に対する助成金を出している自治体があります。とくに子どもや高齢者向けの制度が多くあります。
制度の有無、対象年齢、所得制限などは地域ごとに異なります。
購入前に申請が必要ですので、事前確認を忘れずに。
FAQ|難聴と障害者手帳

- Q1. 片耳難聴でも障害者手帳をもらえますか?
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片耳が90dB以上、もう一方の耳も50dB以上の難聴がある場合に限り、6級として認定される可能性があります。
- Q2. 申請には何が必要ですか?
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必要書類は診断書(指定医による意見書)、顔写真、本人確認書類、申請書です。自治体によって若干異なるため、福祉課に確認しましょう。
- Q3. 手帳が交付されたらどんな支援が受けられますか?
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公共交通の割引、医療費助成、補聴器の支給、税金の控除、就労支援など、多くの制度が利用できます。
- Q4. 手帳がもらえなかった場合はどうしたらいい?
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自治体による補聴器助成、自立支援など、他の支援制度を検討するのが有効です。
- Q5. 対象になるかわからない場合は?
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まず耳鼻科で聴力検査を受け、医師に相談しましょう。その後、自治体の福祉課で制度の詳細を確認するのがおすすめです。
まとめ
片耳難聴は一見軽度に見えますが、実際には会話・仕事・移動に大きな不便を感じる方も多くいます。
そのため、手帳が交付されるかだけでなく、交付されない場合に使える支援制度を知ることもとても重要です。
この記事では、申請の流れや活用できる制度、さらに代替支援や自治体独自の助成制度まで幅広くまとめています。
まずは耳鼻科で検査を受け、指定医による診断書をもらえるか確認しましょう。
参考・出典
- 身体障害者福祉法
- 身体障害者障害程度等級表(厚生労働省)
- 自立支援医療制度について(厚生労働省)
- 精神障害者保健福祉手帳について(厚生労働省)
- 清聖堂:片耳難聴と障害者手帳に関する情報