イヤホンの使いすぎで耳が危ない?難聴の原因・症状・予防法を解説!

通勤中やカフェで、ついイヤホンを長時間つけっぱなしにしていませんか? 動画や音楽を楽しむその時間、実はあなたの耳にじわじわと負担がかかっているかもしれません。
最近「耳鳴りがする」「音がこもって聞こえる」「高音が聞き取りづらい」と感じたら、それはイヤホン難聴のサインかもしれません。
この記事を読むと、イヤホンの使いすぎで起こる難聴の原因がわかり、セルフチェックの方法や正しい使い方、耳にやさしい対策グッズまで把握できます。
「最近、耳が聞こえにくいかも…」という不安を感じている方でも、何をすればいいかが明確になり、今日からすぐに予防を始められます。
難聴の原因になる「有毛細胞」って?
耳の奥には「蝸牛(かぎゅう)」という器官があり、そこにびっしりと並んでいるのが「有毛細胞」です。
この有毛細胞は音の振動を受け取り、それを電気信号として脳に届ける働きを持ちます。
非常にデリケートな構造で、たとえばライブ会場や満員電車などの大音量環境に長くいると、少しずつ損傷していきます。
一度壊れた有毛細胞は再生しないため、聴力の低下が元に戻らない可能性があるのです。
音量と時間の関係|何dBが危険?
音の大きさは「デシベル(dB)」で表されます。
WHOによれば、成人が80dBの音を週40時間以上聴くと難聴リスクが上がるとされています。

1日あたり 約5〜6時間、80dBの音(掃除機の作動音、大通り沿いの歩道など)を聴くのが限界ラインということですね。
音が3dB大きくなるごとに、許容される時間は半分になります。
音量(dB) | 許容される連続時間(週) | 日常生活での音の例 |
---|---|---|
60dB | 無制限 | 普通の会話、静かなオフィス |
80dB | 40時間 | 掃除機の作動音、大通り沿いの歩道など |
83dB | 20時間 | やや大きめのBGMやゲーム音 |
86dB | 10時間 | 騒がしいカフェ、地下鉄の車内 |
90dB | 5時間未満 | 電車内、カラオケ、芝刈り機 |
100dB以上 | 数十分で危険域 | ライブハウス、スマホ最大音量 |
日常に潜むリスクシーンとは?
最近ではテレワーク・ゲーム・動画視聴・オンライン授業など、耳を酷使する機会が増えています。
電車内などでは騒音にかき消されないように音量を上げがちで、これもリスク要因。
イヤホンの使い方次第で、耳へのダメージは防げることをまず知っておきましょう。

知らないうちに週40時間以上に達している可能性がありますね。
こんな症状があれば注意!イヤホン難聴セルフチェック
自分ではなかなか気づきにくい“聴力の変化”。ここではイヤホン難聴のサインをチェックしてみましょう。
高音が聞こえづらくなった気がする
イヤホン難聴の初期症状として多いのが「高音が聞こえづらい」という変化です。
高い声や電子音が「遠くで鳴っているように感じる」なら、すでに高音域に影響が出ている可能性があります。
高音を処理する有毛細胞は傷つきやすく、日常の中でも最も早く異変が現れる部分です。
耳鳴りや耳の詰まり感がある
「キーン」「ピー」といった耳鳴りや、耳がこもったような感覚は内耳のストレスのサイン。
こうした症状が続く場合は専門の耳鼻科医に相談するのが安心です。
会話の聞き取りがうまくいかない
騒がしい場所で会話が聞き取れない、聞き返しが増えたという場合も初期症状のひとつ。

「テレビの音を前より上げてる…」と感じたら要注意です。
難聴を防ぐ!イヤホンの正しい使い方と予防法
イヤホンそのものが悪者なのではなく、使い方次第で耳を守ることが十分に可能です。
音量は60%以下を目安にしよう
WHOでは、スマホ音量の60%以下を安全基準としています。
iPhoneやAndroidには音量制限設定があり、「リミッター」機能を活用するのがおすすめです。
1時間に1回は耳を休めよう
1時間使ったら10分耳を休ませることを習慣にしましょう。
耳の有毛細胞にも「休憩時間」が必要なのです。
ノイズキャンセリングで音量を抑える
騒がしい場所では、ノイキャン付きイヤホンを使えば音量を上げずに済みます。
「小さな音で聞ける=耳への負担が少ない」ということ。これは、難聴予防にとって非常に大きなメリットです。
AirPods ProやSONY製品などが代表的です。
耳にやさしいおすすめグッズ3選
ここでは耳にやさしい道具を3つ紹介します。
骨伝導イヤホン
耳をふさがず、骨から音を伝えるため、鼓膜や内耳への負担が少ないです。
Shokz(旧AfterShokz)などが有名で、周囲の音も聞こえる安心設計です。

音量制限アプリ
Androidは「Safe Headphones」など、iPhoneは「ヘッドフォンの安全性」設定で音量制限が可能。
無意識の爆音リスクを防げるのが最大のメリットです。
遮音性の高いカナル型イヤホン

カナル型(耳栓型)のイヤホンでも、密閉度の高いイヤーピースを使えば、同じ音楽でもぐっと小さな音でクリアに聞き取ることができます。
小さな音でもしっかり聴き取れる遮音性の高いイヤホンを選ぶことで、音質と耳の健康を両立できます。
無理に音を上げなくても快適に楽しめる工夫が大切です。
JVC・SONY・finalなど遮音性に優れたモデルも多数あります。
まとめ|耳の健康は日々の意識から守れる
耳鳴りや聞こえにくさを放置しないことが何より重要。
聴力検査は数分でできるため、気になったら早めに耳鼻科へ行きましょう。
毎日のちょっとした習慣が、10年後の聴力に大きな差を生みます。
音量の設定や耳のケアは、今日からすぐにできる予防です。

「当たり前に聞こえる」今のうちから、耳を大切にしましょう。
参考・出典
- WHO(世界保健機関):Make Listening Safe イニシアチブ(安全なリスニングの基準)
- 日本耳鼻咽喉科学会:ヘッドホン・イヤホン難聴に関する公式解説
- 健達ねっと:イヤホン難聴の原因・症状・予防法に関する記事
- 厚生労働省:騒音性難聴に関する労働衛生基準
- Apple公式サポート:iPhoneのヘッドフォン音量制限機能について
- きこえのお助け隊:有毛細胞は再生できる?回復方法は?